名古屋高等裁判所 昭和56年(ネ)189号 判決
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【判旨】
本件記録によれば次の事実が認められる。
本件訴訟は、本件控訴人である河西松男が原告となり、控訴人補助参加人である赤川弘江、中川はつ両名の訴訟被承継人赤川圓(昭和五三年一二月一三日死亡)と被控訴人である医療法人豊岡会を被告とし、右被告両名が右松男の子一夫を医療過誤により死亡させたことを原因として、原審である名古屋地方裁判所豊橋支部に提起した損害賠償請求訴訟(昭和五一年(ワ)第二一六号事件)であるが、原審は昭和五六年二月一二日原告の被告亡赤川圓訴訟承継人赤川弘江中川はつ両名に対する請求を一部認容し、その余の請求と被告医療法人豊岡会に対する請求を棄却する判決を言渡した。これに対し赤川弘江、中川はつ両名(一審被告)は、同月二四日河西松男(一審原告)を被控訴人として当裁判所に控訴を提起するとともに(当庁昭和五六年(ネ)第七七号事件として係属中)、河西松男(一審原告)の控訴期間内である同月二八日、補助参加の申出とともに補助参加人として同人のため医療法人豊岡会(一審被告)を被控訴人として当裁判所に本件控訴を提起した。右両控訴事件は当審において併合して審理されたが、昭和五六年一〇月一五日午後一時の第二回口頭弁論期日において、本件控訴人である河西松男(一審原告)の訴訟代理人弁護士名倉卓二は本件控訴を取下げた。右弁護士名倉卓二は右河西松男から控訴取下げの権限を授与されていた。
そこで、右控訴取下げの効力について判断するに、前認定の事実によれば、本件補助参加は共同訴訟的補助参加ではなく、通常の補助参加であることが明らかであるところ、通常の補助参加人は被参加人に従属して訴訟を追行する地位を有するに過ぎず、被参加人の訴訟行為と牴触する訴訟行為をすることはできない(民訴法六九条二項)。もつとも、被参加人の積極的な訴訟行為がない限り、補助参加人は被参加人の意思に反する訴訟行為をすることができるが、被参加人はこれと牴触する訴訟行為をすることによつて補助参加人の行為を無効にすることができる。そうだとすると、補助参加人の本件控訴の提起は有効であるが、被参加人である控訴人のした本件控訴の取り下げも有効であり、本件訴訟は右控訴の取下げによつて終了したことが明らかである。
なお、控訴人補助参加人の本件訴訟は控訴審に係属中であるとの判決を求める申立は、右控訴の取下げの無効を理由とするものであり、控訴人の主文第一項同旨の判決を求める申立と牴触することが明らかであるので、補助参加人がこのような申立をすることができるかどうかについて付言する。補助参加は参加人の利益を擁護するための制度であり、補助参加人の機能は被参加人に由来しない独立の機能であるが、前叙のように補助参加人は被参加人に従属して訴訟を追行する地位を有するに過ぎず、訴訟係属が消滅すればその地位も消滅する。従つて、補助参加人は訴訟係属の有無について独自の利害関係を有するから、訴訟終了に関する中間の争いについては民訴法六九条二項にかかわらず、被参加人の求める判決とは牴触する判決の申立をすることができると解するのが相当である。
(瀧川叡一 早瀬正剛 玉田勝也)